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栄和人監督による吉田沙保里選手と伊調馨選手に対する差別報道の違和感

 投稿:2018年03月08日
最近、日本レスリング協会の強化本部長である栄和人監督(至学館大学レスリング部監督)が、伊調馨選手より吉田沙保里選手を優遇しているのではないかという報道が増えてきているようです。

まず、本題に入る前に、私と女子レスリングの関わりを少し話します。
私が女子レスリングに初めて注目したのは、1991年に山本美憂選手が若干17歳で世界選手権を優勝したときです。
当時の女子レスリングはとてもマイナーな競技でしたが、男子レスリングは日本のお家芸としてオリンピックでメダルを量産していましたし、そして何より山本美憂選手が綺麗だったのでとても記憶に残っています。
1991年当時は、まだ女子ボクシングは普及していませんでしたし、総合格闘技などは男女問わずそもそも存在していないに等しく、女子が行う格闘技で人目に入るものは柔道ぐらいなものでした。
そんな時代における彼女は、(プロレスを除く)格闘技ファンにとって唯一とも言えるアイドル的存在でした。(当時の女子柔道の軽量級選手は、アイドル的ではない人が王者として君臨していたので・・・)
その後、山本美憂選手は1995年に引退するまでにレスリングの世界選手権(48kg級)を3回制し、正に絶対王者として君臨します。
この時期はUFCやK-1が始まった頃で、日本の格闘技ブームが始まりかけていたのですが、私は一般の人よりかなり早い段階で格闘技を見始めていたので(格闘技の専門雑誌である格闘技通信を買っていた)、山本美憂選手のことはよく覚えています。

時は流れ、2004年のアテネオリンピックで女子レスリングがオリンピック競技になります。
そんな状況の中で、

女子格闘技界で最大の決戦

が行われました。
それは吉田沙保里vs山本聖子(山本美憂の妹)の試合で、当時、世界選手権にある7つの階級(48kg級、51kg級、55kg級、59kg級、63kg級、67kg級、72kg級)をオリンピックでは4つの階級(48kg級、55kg級、63kg級、72kg級)にするということで、世界チャンピオン同士が1つのオリンピック代表の椅子(55kg級)をかけて戦うことになります。
当時の山本聖子選手は世界選手権を3つの階級で4回制覇(51kg級、56kg級、59kg級)、吉田沙保里選手は55kg級で2連覇していました。
この2人の内、1人しかオリンピックに出場できないというのは、もはや悲劇でしかありません。

そして、この戦いに勝った吉田沙保里選手は、その後
・公式戦119連勝
・オリンピック3連覇
・国民栄誉賞
と様々な偉業を成し遂げます。
一方、負けた山本聖子さんはオリンピックに生涯出場することはなく、その後は選手として大きな成績を残すことはありませんでした。
このように2人は、その後のレスリング人生において完全に明暗を分ける形となったのです。
※プライベートでは、メジャーリーガーのダルビッシュ有選手と結婚した山本聖子さんがかなり優勢に見えるが・・・

本題に戻ります。

栄和人監督が、伊調馨選手よりも吉田沙保里選手を優遇しているという話ですが、果たして本当にそうでしょうか?
吉田沙保里選手と伊調馨選手は、お互いに国民栄誉賞を受賞していますが、受賞時期は
・吉田沙保里選手は、オリンピック3連覇して世界選手権を13連覇したの2012年
・伊調馨選手は、オリンピック4連覇した後の2016年
と4年の開きがあります。
伊調馨選手には静養期間があるため吉田沙保里選手ほど世界選手権を連覇していませんが、吉田沙保里選手に対しオリンピック後ではなく世界選手権後に国民栄誉賞を与えたことは、まるで伊調馨選手無理やりを外し吉田沙保里選手だけ与える口実のようにすら思えます。
つまり国民栄誉賞を与えた日本政府が、伊調馨選手より吉田沙保里選手を優遇したわけです。

このようなことはメディアでも見られ、常に伊調馨選手より吉田沙保里選手のことを大きく取り扱っていました。
そして国民も、常に伊調馨選手より吉田沙保里選手に対して関心を持っていたはずです。
この状況は、伊調馨選手がオリンピック4連覇を達成し、吉田沙保里選手のオリンピック連覇が途絶えたリオオリンピックまで常に続いていました。
このことは日本人なら誰しもがどことなく感じていたことでしょう。

それを今更になって、栄和人監督や日本レスリング協会が伊調馨選手より吉田沙保里選手を優遇しているなんて、メディアにも国民にも言う資格はないと思います。

スポーツの世界では、実績以上の評価される選手がいることは間違いありません。
アトランタオリンピック後当時の谷亮子さん(当時は田村亮子)は、オリンピックで銀メダルを2回獲得していましたが、どう考えても金メダルを2つ獲得している人以上の注目を集めていました。
シドニーオリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんは、同じ女子マラソンのオリンピック金メダリストの野口みずきさんよりも常に高い評価をされていたはずです。
このように、スポーツの世界には実力以上に優遇される選手が確実にいるのです。(これはスポーツ界に限った話ではないが)

栄和人監督が、伊調馨選手より吉田沙保里選手を優遇していたかいなかったかと問われれば、おそらくしていたのでしょう。
そもそも至学館大学レスリング部の監督を務める栄和人監督の現在の教え子には、伊調馨選手と同階級の選手もいるでしょうから、自分の手を離れた伊調馨選手を優遇する義理もありません。
そして最後にもう1度言いますが、この問題についてはメディアも国民も栄和人監督を批判することはできないと思います。


posted by 3 at 06:17 | Comment(0)
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