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漫画村の閉鎖問題で見えてくる日本の情報産業の危機的な遅れ

タグ:IT  投稿:2018年07月12日
少し前に、違法に日本の漫画を掲載するサイト『漫画村』に対しNTTがネットの遮断を行い、この問題は大きく報道されました。
結果このサイトは閉鎖された他、ブラジル在住のサイト運営者が逮捕されているとの噂もあります。
サイトの閉鎖や運営者の逮捕は当然ですが、この問題はそんな簡単に済ませていい問題ではないと私は思っています。

現在、日本の漫画界、特に電子書籍の分野に関しては様々な問題があります。

例えば、週刊少年ジャンプ連載の『ONE PIECE』と週刊ヤングジャンプ連載の『キングダム』だけを読みたい人がいるとします。
当然、早く読みたいので雑誌発売日に読むとして、現在は週刊少年ジャンプと週刊ヤングジャンプの2冊の雑誌を買わないといけません。
紙媒体だったらこれは当然仕方のないことなのですが、電子書籍だったら『ONE PIECE』と『キングダム』だけ切り分けて売ることは現在の技術では難しいことではありません。
しかし出版社側は、電子書籍であっても雑誌単位での販売を頑なに守り続けています。
結果、読者は電子書籍でも読みたくもない漫画がほとんどを占める週刊少年ジャンプと週刊ヤングジャンプの2冊分を購入しないといけないのです。
このような漫画の購入方法は現在の時代に見合っているいるでしょうか?

単行本の電子書籍にも問題があるので、問題点を1つ1つ取り上げて説明します。

紙媒体の本と電子書籍が値段がほとんど変わらない

紙の本は、1冊1冊に紙とインクを大量に使い、なおかつ流通コストもかかるため、記憶上のデータでしかない電子書籍より大幅に高くなることは誰の目から見ても明らかです。
しかし、出版社曰く『街の本屋が潰れては困るから』などという謎の理由から、紙の本と電子書籍の本(漫画)はほとんど同じ値段で売られています。

発売日が遅いケースがある

紙の本は製本や流通時間があるため、本来は電子書籍よりも顧客に届くまでの時間がかかるはずです。
にもかかわらず、紙の本より電子書籍のほうが発売が遅いケースがよくあります。
最近この問題は解消されつつありますが、電子書籍が出始めた頃は新刊の発売が1ヶ月から2ヶ月遅いなどということが当たり前に起きていました。

そもそも電子書籍に対応していない漫画がある

作者の意向などにより、電子書籍に対応していない漫画もあります。
漫画本を持ち歩くことが難しい出先などで漫画を読むときに電子書籍はとても便利ですが、そもそも電子書籍化されていなければどうにもなりません。
また電子書籍化されない漫画の問題は、雑誌の電子書籍のときにも問題となります。
ようは、紙の雑誌には掲載されているのに電子書籍の雑誌には掲載されていない漫画があるのです。(例:週刊少年マガジンの『はじめの一歩』)
これは大きな問題なので、作者の方ももっと真剣に考えてもらいたいと思います。

漫画の出版社というものは、読者に対し有意義なサービスを提供するのが企業としての本分なはずです。
しかし電子書籍の実情を見ると、現状は本屋などの既得権益者を守ることの方を重視し、読者に目が向いていない気がします。
本来、電子書籍はとても可能性のあるサービスになるはずです。
例えば出版社をまたいだ漫画の配信サービスなども簡単にできるはずで、特に小学館(サンデー系など)、集英社(ジャンプ系など)、白泉社(アニマル系など)は元々同じ会社なのですから、今すぐにでも提携できるはずなのに、現状そのような動きは全くありません。(一般雑誌ではこのようなサービスが進んでいる)


漫画界の電子化が進まない一方で、音楽やゲームなどは電子化がとても進んでいます。
音楽は1曲単位での購入が普通にできますし、近年は定額制のストリーミング配信も多くなっています。
アプリ系のゲームは、家庭用ゲーム機より比べ大幅に安い値段で広く普及し、現在は家庭用ゲーム以上の発展を見せています。

漫画と音楽・ゲームの電子化に、このような違いが出た理由は何でしょうか?

それは、音楽やゲームの電子化サービスが外国資本で行われているからです。
音楽やゲームの電子化は、主に『iTunes』や『GooglePlay』といったアメリカのIT企業の主導のもと実施されました。
ここで、現在の企業時価総額ランキングをご覧ください。

1位:アップル、873億ドル
2位:アルファベット(Google)、712億ドル
3位:マイクロソフト、641億ドル
4位:アマゾン・ドット・コム、532億ドル
5位:フェイスブック、522億ドル
6位:アリババ・グループ・ホールディング(中国のIT大手)、467億ドル
7位:バークシャー・ハサウェイ(アメリカの持株会社)、461億ドル
8位:テンセント・ホールディング(中国のIT大手)、421億ドル
9位:ジョンソン&ジョンソン(アメリカの医療メーカー)、374億ドル
10位:JPモルガン・チェース(アメリカの金融会社)、354億ドル

以上のように、ものの見事にIT系企業が上位を占めていることがわかります。

現在の経済は、車や家電などの実態のある物よりも情報がお金になる時代ですが、この情報に関する考え方が日本は相当遅れていると言わざるを得ません。
海外アーティストのコンサートなどを見ていると、撮影がOKになっている場合が多く、SNSや動画サイトによる拡散力をうまく利用しています。
しかし日本では、開始前にしつこいぐらいに撮影禁止のアナウンスが流れるケースが多くなっています。(近年は撮影OKにするところも多少出てきているが)


テレビ業界(NHKを除く)などもいまだにネットでの無料配信に消極的で、民法各社が数番組だけ配信しているサイト『TVer』も中途半端と言わざるを得ないでしょう。
なにもCMを外してTV番組を配信しろなどと言ってるわけではありません。
もともと無料で放送しているのだから、ネットで同時に配信しても何も問題がないのではないかと疑問に思うのが普通だと思います。
本来、民法テレビ局にとって大事なのは、視聴率の上げることではなく視聴者数を増やすことなはずで、視聴媒体が増えることは視聴者数の増加にも繋がっていくはずです。
ですのでTV番組をネットで同時配信しても、テレビ局もスポンサーも視聴者も誰も困らないのではないでしょうか?(配信コストの問題はありますが)
もし困る人がいるとしたら、それは視聴率を調べる会社の関係者ぐらいなものでしょう。


また、数年前にキュレーションサイトによる著作権問題が大きな話題となり、多くのキュレーションサイトは閉鎖に追い込まれるということもありました。
確かにキュレーションサイトには問題があったのは事実です。

しかし、キュレーションサイトがなくなった結果インターネットの環境はどうなったでしょうか?

現在、インターネットを使い1つニュースについて調べてみると、検索上位に出てくるのは同じニュースを同じように伝えている大手メディア系のサイトばかりとなっています。
実際に今日、西日本の水害について調べた検索順位は、

1位:産経新聞のサイト
2位:読売新聞のサイト
3位:Yahoo!ニュース
4位:NHKニュースのサイト
5位:毎日新聞のサイト
6位:東京新聞のサイト
7位:TBSニュースのサイト
8位:日経新聞のサイト
9位:MSNニュース
10位:朝日新聞のサイト

と、明らかに情報が重複しており検索の意味をなしていません。(この後、30位以下まで新聞社など大手メディア系のサイトが占めることになります)
多数の情報があるはずのインターネットでは、閲覧者側も多様な意見を知りたいはずなのに、ほとんど代わり映えのしないニュースサイトが検索の上位を占めて何の意味があるというのでしょうか?

Yahoo!ニュースやライブドアニュースなどの、大手メディア系ニュースをまとめるサイトにも問題があります。
以前、このようなニュースをまとめるサイトで『とある芸能人(実際は芸能人の名前が書いてある)が一般人に怒り』みたいな見出しがあったので見てみると、AbemaTVで配信しているバラエティ番組の1コーナーで、最近怒ったことを言っているだけでした。
こんなのニュースでも何でもありません。
結局、提携しているメディア媒体が自分のメディアを宣伝しているだけで、Yahoo!ニュースやライブドアニュースと提携できるような大手メディアが、やりたい放題なことをしているのが現状になっています。
これだったらキュレーションサイトのほうがまだマシだと思います。


このように日本は既得権益を守ることばかりに終始し、現在の世界で主流になりつつあるIT・情報産業の分野で相当遅れていると思います
そして実際に、世界に通用するようなIT企業が育っていないのが実情です。
同じ東アジアの中国、韓国と比べても、日本のIT企業の状況はよくありません。
日本と中国、韓国のインターネットの状況を比べるとそれがよくわかります。
以下、日本、中国、韓国の各分野のNo.1サイトを紹介します。

【検索サイト】
日本:Google(アメリカの企業)
中国:百度(中国の企業)
韓国:NEVER(韓国の企業)

【SNS】
日本:Twitter(アメリカの企業)
中国:微博(中国の企業)
韓国:カカオストーリー(韓国の企業)

【動画サイト】
日本:YouTube(アメリカの企業)
中国:优酷(中国の企業)
韓国:YouTube(アメリカの企業)

【通販サイト】
日本:Amazon(アメリカの企業)
中国:天猫(中国の企業)
韓国:G-Market(韓国で起業しアメリカの企業に売却された企業)

以上のように中国や韓国のインターネット事業では、自国の企業が運営するサイトが1位になっているケースが多いのですが、日本は完全に海外、というよりアメリカの企業にインターネットを牛耳られています。
ニコニコ動画やアメーバブログなどの、過去にかなり人気のあった日本企業のサイトも近年はシェアを落とす一方です。

日本は世界第3位の経済大国で世界的な企業も多数あるのですから、IT・情報の分野でももう少し頑張っていただきたいと思います。
と言うより、この分野で成果をあげられなければ、今後の日本経済はますます厳しい状況に立たされることでしょう。

以上、日本の情報産業の遅れについて指摘させていただきました。

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